「───元気でな」

「……え?」



そう、微笑んだ。

何かに、苦しむような……そんな表情で。

バタンッ、と、扉を閉められる。



「っ、士綺くん……!!」



叫んだ。お腹に、響くくらい。

でも、士綺くんは、どんどん離れていった。



「運転手さん……!! 止めてください……!」

「……すみません。士綺様に、病院まで行けと命じられているので」

「っ、そん、な……っ」



ねぇ、士綺くん……。

どうして、私をまた、突き放したの……?

どうして、何も、答えてくれないの───?



「っ、ぅ……」



緊張の糸が切れたのか、意識が薄れてきた。

やだ……まだ、士綺くんに何も聞いてない。

士綺くん、行かない、で……っ。



「百瀬様……!?」



私の身体は、糸が切れたように倒れた。