傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

何を言ったか、聞こえなかった。

それは、奇声で遮られた。

士綺くんの腕の中で、顔を少し上げる。



「おい! そいつは毒に侵されてるんだぞ! 解毒薬が欲しかったら、データ寄越せ……!!」

「はい、これ」

「……は?」



憐夜くんが投げたのは、USBメモリ。

ま、さか……。



「士綺くん、ダメ……。必死に……集めた、情報、なんでしょう……?」

「あんなもんより、椿月の方が大事に決まってるだろ。何無茶してんだ……どんなけ心配したか」

「ごめ、ん……っ」



士綺くん、私のためだけに、努力を捨てるなんて……。



「はっ、ハハハ!」

「……早く解毒薬よこせ」



急に笑い始めた天鬼岳。

士綺くんはこれでもかと睨む。



「ハハッ! USBメモリを手に入れて、ソイツを助けるわけないだろ! ソイツはただの人質。死のうが生きようが役に立てばいいんだよ!!」

「……そっか」