周りの男の人たちに押さえつけられて、もう、逃げ道はなかった。

チクリと、痛みが走った。

───ああ、死ぬんだ。

士綺くんに、憐夜くんたちに会えずに、迷惑をかけて。

───もう少し、一緒にいたかった。

もっと、『大好き』って、『愛してる』って、言えばよかった。

結局、人生って後悔でしかない。



「うっ……」

「別に意識崩壊じゃねぇ。ただの実験体だ」



意識が、朦朧としてきた。

その中、天鬼岳の声が脳内に響く。

ヤク漬けにするんじゃなく、実験体……。

打たれた腕を見ると、青紫に変色していた。

まるで、腕を折られた時のように。

もう、死ぬんだ……。

すると───。


───ヴー、ヴー、ヴー、ヴー!


さっきとは違うサイレンが鳴った。

な、に……?

この警報音を聴き、天鬼岳は焦っている様子だった。



「侵入者!? お前ら行け!!」

「は、はい!!」