《……データ持って行ったら返すんだな?》

「っ、士綺くんダメ!!」

「黙れ」

「あ゛っ……!!」

《椿月!!》



倒れながら、必死に言葉を放った。



「この人たちの狙いは士綺くんなの……!! 絶対来ちゃダメ……!! 来たら、許さない!」

《っ、バカなこと言うな!!》



どんなに激しく怒ろうとも。

私の意見が変わることはない。

士綺くん、このためにわざわざ暴走族になったんでしょ?

私のせいで台無しになるなんて……そんなの絶対嫌!!



「お願い士綺くん! 来ないで!! っ、あ゛!」

《椿月!!》

「次余計な事言ったら殺す」

「〜っ、はっ……!!」



息が、できない。

身体が、重い。

手が後ろに縛られているせいで、身動きが取れない。



「士綺くん!! 来ないで!! そんなことしたら士綺くんの夢に化けて出るから!!」

《っ、このバカ!! 自分の命優先だろ!!》



バカは、士綺くんの方だよ……!!

私なんかのために……頑張りを捨てようとしないで!!



「はい、ここまで」

「あ゛……!!」



トンッと首の側面を叩かれ───



《椿月!!》



私はまた、冷たい地べたに這いつくばることになった。