「うっ……いっ……」



視界がゆっくりと広がる。

ここ……どこ……?

冷たい地べた。手足が動かない。



「いっ……!?」



体を少し動かすと、お腹が疼いた。

っ、さっき、久瀬日向に襲われて……。

ゆっくりと全てを思い出す。



「あー、起きた?」

「っ!?」



痛みに耐えている時、声が響いた。

その声は、忘れない……忘れられないもの。



「あ……あぁっ……」



ニヤニヤと笑う悪魔。

───久瀬日向。

そして、後ろにいるのは───。



「お久しぶりね。百瀬椿月」

「白雪……蓮乃?」



白龍の、姫だった。



「惨めね。あんなに大口叩いてたくせにスルッと捕まるんだもの」

「……じゃあ、ここは……」



辺りを見回すと、そこは鬼龍の倉庫と、同じような倉庫だった。

嫌な予感が全身を駆け巡る。