「逃げちゃダメだろ。───ほら、前みたいに鳴けよ」

「っ、嫌……!!」



ジリジリと詰められて、腕を掴まれてしまった。

どうしよう……っ!

頭の中はパニックで、冷静になれない。



「おい、この女か?」

「はい。獅子堂士綺の女です」

「そうか。……獅子堂にはヤクの情報掴まれてるからな。脅す駒になってもらうぞ。来い」

「っ、カハッ……!!」



お腹に重いパンチがめり込む。



「っ、はっッ……!」



息が一瞬止まった。

そして、ゆっくりと倒れる身体。



「なんだ、気絶しねぇな。まあ、優しくしてやったからなー。おい、睡眠薬入れろ」

「っ、嫌ぁっ……!」



男の声の合図で、柱の影から男が続々と現れる。

そして、布を口に当てられた。

吸っちゃいけないと分かっていても、恐怖で息が浅いせいで、吸ってしまった。



「っ、しき……く……」



ニヤニヤと笑う男たち。

その気味の悪い顔を最後に、私は意識を失った───。