士綺くんに手を振り、帰り道を通る。

───おかしい。

だって、士綺くんがあんなに焦ったのは初めて見た。

しかも、何も言わない。

一体、何が起きてるの……?

嫌な予感が胸に渦巻くのは……気のせい?



「───久しぶり、百瀬」

「っ……!?」



ぬるりと電柱の影から現れたのは───。



「久瀬、日向……!?」



今一番、会いたくない人だった。

やっぱり、久瀬日向は白龍と繋がりが……!?



「俺の事呼び捨てにするなんて、随分強くなったようで」

「……何、しに来たの……」



でも、全て忘れたわけじゃない。

たとえ呼び捨てにできても、身体は反射的に震える。



「もちろん───攫いに来たんだよ」

「っ……!?」



グイッとロープを取り出した久瀬日向。

───逃げなきゃ。

反射的に足が動く。

すると、後ろから男が1人現れた。

挟まれた……!?