「まあ、こっちに来なさい」

「え?……きゃっぁっ!」



後ろにいた男の人に引っ張られた。

そして、連れてこられたのは、空き教室。

そして、その子が開口一番言ったのが───。



「士綺を返してくれない?」

「……え?」



士綺くんを……返して?

いったい、どういう……。



「まだ自己紹介してないわね。私は白雪蓮乃(しらゆき れの)。鬼龍の元姫よ」

「姫……? じゃあ、あの……」



憐夜くんが言っていた、『裏切り姫』って、この人のこと……?

それより、士綺くんを返してって、どういうこと?



「士綺は私のものよ。釣り合わない奴は引っ込んでくれる?」



自分勝手にそう言うから、私に怒りが芽生えた。



「し、士綺くんはあなたのものじゃない! しかもあなた、鬼龍を裏切ったって……!」



そう反論すると、「チッ」と舌打ちをした。



「そこまで知ってるのね。私、天王寺たちは興味ないの」

「……憐夜くんたち?」