「椿月、ほんなら!」

「バイバイ〜! 結蘭ちゃん」



復帰してから1ヶ月。私は普通の生活に戻った。

そして、幸せに過ごしていた───。



「ねぇ、百瀬椿月」

「え……?」



教室で結蘭ちゃんと別れて、帰ろうとした。

その時、1人の女子に腕を掴まれた。

真っ白な髪に、真っ黒な瞳。

肌はキメ細やかで、とても可愛い。

そして、後ろにいるSPらしき男の人。



「誰ですか……?」

「平凡な子」

「え?」



私の質問には一切答えず、ニヤリと笑った。

平凡な子……?



「何よ。士綺の彼女だって言うからもっと美人だと思ったのに」

「っ、士綺くんのお知り合いですか?」



美人じゃないのは仕方ない。そんな言葉、もう慣れっ子。

気になったのは、『士綺』と呼び捨てにしたこと。

士綺くんは女子を寄せ付けない。

好きになっても、近づく人はいない。

なのに、どうして……。