「いや、間違えてなんかない」

「いや、士綺くん? この部屋、さっきの3倍はあるよ?」

「だからどうした」

「いや、私は居候の身なので、もっとこじんまりとした部屋で十分……」

「何言ってるんだ。すでにここは椿月の部屋だぞ」

「いやいや……」



この大きさで……!?

だって、ベッドも今のベッドの3倍はある!

しかもローテーブル、イス、ソファとかの家具も全部高級物。



「庶民の私はこんなところ住めないよ……!」



庶民の私には全然似合わない……。



「そうか……。椿月のために用意したが……」

「あっ……」



士綺くんの悲しそうな表情。

それを見て、心が痛む。



「う、嬉しいよ! でも───」

「本当か? じゃあ使ってくれ。何か欲しいものがあったら呼んでくれ。少し電話をしてくる」

「えっ? し、士綺さーん?」