傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

急に頭が痛くなった。キリキリと。

そっと触ると、何か縫い目のようなものを感じた。

それに気づいたのか、士綺くんは暗い顔をした。



「……悪い。額の傷、縫ったんだ。椿月の身体に、傷をつけて悪い……」

「士綺くんのせいじゃないよ。あと少ししたら治るよ」



右腕も痛いけど、これ以上心配はかけられない。



「……悪い。すぐに医者に見せる」

「病院に連れて行ってくれるの?」

「何言ってるんだ? 入院できない理由も聞いただろ? ただの訪問医だ」

「訪問医……!? さすが獅子堂家……」



士綺くん、やっぱり桁違いのお金持ち……。



「ほら、この部屋だ」



士綺くんに運ばれて着いた部屋は、ものすごく大きくて、さっきいた部屋の3倍はある。

う、嘘っ……!



「し、士綺くん? 部屋間違えてない?」



このお部屋、絶対お母様かお父様のお部屋でしょ……。