俺は憐夜たちを背に向け走った。

階段をただ駆け上がって見た光景は───。



「士綺、くん……?」



頭から血を流し、頬を切った痛々しい姿の椿月だった。

それを見ただけで頭に血が上った。

そのせいでイヤホンを握り潰した。

それに気づいたのか、憐夜たちも駆けつけた。

全員で男共を潰した。

そして、椿月は……。



「士綺、くん……ありが、と……」



意識を失った椿月。



「ッ、椿月!」



クソッ……!!

椿月の身体は肉がないのかと思うほど軽い。

しかも右腕が折れてる。

頭から血を流したせいで貧血なのか、青い顔をしている。



「士綺クン、早く病院に行って。このままじゃつーちゃん死んじゃう」

「行くに決まってんだろ!!」

「早く。コイツらは倉庫に閉じ込めとく。結翔クン、キミに任せる」

「はい」



俺はそんな言葉を後ろから聞きながら、椿月を抱えて走った。