「ねぇ士綺クン、感じたでしょ?」

「あ!?」



後ろから憐夜の真剣な眼差し。

感じた?何を。



「士綺クン、一旦冷静になって感じて」

「……チッ」



一旦冷静になった途端に感じた視線。



「神経尖らせて。分かったでしょ? 屋上だ」

「え? 俺は何も感じないんですけど……」



涼が戸惑っているが、そんなことをしてる場合じゃない。



「行くぞ!」



そう走り出そうとした途端、憐夜に掴まれた。



「士綺クン! 男3人いるんだ、しかも白龍の。もし刺激してつーちゃんを人質に取られたらどうする? もう気づかれてる。1人抜けるくらいしかできない」

「じゃあ俺が行く」

「それはいいけど、じゃあこれ」

「なんだこれ」



渡されたのはイヤホン。



「無線のイヤホン。僕らのイヤホンと繋がってる。これ付けて行って。女は絶対戦力にはなんない。男を潰してたら視線はこっちに来ない。それで連絡して」

「手回しは完璧だな」

「当たり前。行って!」