傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

玲音は俺の顔を見てから、スピーカーにした。

俺は悟った。

───椿月のことだ。

俺は身を乗り出して聞いた。



《聞いて!! はよ!! なんや椿月おらんねん! 教室に帰ってきたら!!》

「は?」



いきなり何の話だ。



「結蘭、最初から話せ」



玲音がこう言うと、電話越しに息を吸う音が聞こえた。



《委員会から帰ってきたら椿月がおらんねん!それでクラスメートに聞いたらリーダー女子たちに連れて行かれた言うねん!》

「でもそれだけじゃないでしょ? そうだったら校舎を探せば───」

《校舎におらんねん!!》

「え?」

「は?」



どういう、ことだ。

椿月が、校舎にいない?



《しかもさっき不審者が旧校舎に入ったって情報があんねん! 男3人!》

「……士綺クン、どうする?」