傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

手を引っ張れるのが痛くて、つい頷いてしまった。

……まさか、結蘭ちゃんがいなくなるのを狙ってた……?

……絶対にそうだ。

最近、いろんな女子に睨まれることが多くなった。

何かされるんじゃないかと構えていたけど、結蘭ちゃんや士綺くんたちと一緒にいたからか、声をかけられることはなかった。

今日は士綺くんたちがいない、絶好のチャンス。

しかも結蘭ちゃんもいない。

……どうしよう。



「ほら、早く来い!!」

「いたっ……!」



生徒がいない旧校舎に着いた途端、目を色を変えた女子たち。

階段をズンズン上がって着いたのは屋上。



「ちょっ、離して……!!」



何かあると察して、手を振り払った途端。


───ガシャンッ!!



「っ〜……!」



体をフェンスに叩きつけられた。

それも息が止まるほどの強さで、痛みが走る。