傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

正直、怖くて仕方ない。

私は、少し強くなっただけ。

まだ……『もう怖くない!』って言えるほど、強くない。



「つーちゃん? 顔蒼白いけど大丈夫?」



自然と顔に出ていたのかもしれない。

憐夜くんに顔を覗き込まれて、ハッと我に返る。

いけない、いけない……。今日は楽しみお祭りだもん。暗い顔しちゃダメ……。



「大丈夫だよ。それより早く席取りに行こっ」



そう顔に力を込めて言うと、憐夜くんも笑顔になってくれた。



「行こ行こ! ほら士綺クンたちも行くよ〜!」

「うんっ。行こ!」



憐夜くんに手を取られて、一緒に行こうとした時。



「おい」



パシリと、憐夜くんの手が振り払われた。

その手は士綺くんだった。



「めんごめんご〜。にしても士綺クン、警戒心薄くなーい?」



憐夜くんは理由を分かっているよう。



「この場でぶん殴っていいなら殴る」

「え?」

「ちょっ、士綺クンめんごー!」