───ジャー〜……。
なんとか迷子にならないようにトイレを見つけて、用を達す。
手を洗い、外に出る。
よしっ、すぐに帰って、花火を見る場所を取らなきゃ。
「久しぶり。百瀬」
「……っ、え?」
急に話しかけられたと思い後ろを向くと、そこには、頭の片隅に置いていた人が立っていた。
「まさか忘れてなんてないよね? この前、散々な態度取っておいて」
「久瀬、くん……っ」
そこにいたのは……元、いじめっ子である、久瀬日向くん、だった……。
「なん、で」
あの時とは真逆で、足が縫い付けられたように動かない。
そんな私を見て、その人は、口を開いた。
「───調子乗ってんじゃねぇよ」
「───……っ!」
その言葉は、過去をフラッシュバックさせるには、十分すぎる言葉だった。