傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

『そ、総長……!!』

『な、なんで……!』

『……』

『……え?』



そう、ちょう……?

頭の中で総長、という言葉が響き、答えが出た。

───鬼龍の人……!?



『てめぇら、姫に手ぇ出しといてただで済むと思ってんのか?』

『ち、違います……!姫だとは、気づかず!』



私と、気づかない……?

わ、私がメイクとかしたから……!?

ちょ、ちょっとショック……。



『ああ゛?』



ドスの効いた声で凄む士綺くん。



『し、士綺くん……!いいよ、私だって気づいてくれたし……。それに、もうナンパとかしないって約束してくれるなら……』



さすがに可哀想だと思い、できるだけ微笑んでみせた。

すると、顔を真っ赤にした男の人たち。



『こ、これがあの姫かよ……!?』

『前髪上げると美人じゃねぇか……』

『ああ゛?黙れ。てか椿月、微笑むな』

『えぇ!?』