傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

「……椿月」



ヤバい。……美人過ぎだろ。



「士綺くん、遅れてごめんね。それにしても士綺くんとってもカッコイイ!」

「……椿月も」

「え?」



バカで頭がどっかに行っていた俺は、つい口にしてしまった。



「似合ってる」

「……へっ」



まさかそんなこと言われるなんて、と言わんばかりに、椿月は顔を真っ赤にした。

逆にそれも可愛くて……って、マジ俺何言ってんだ……。

柄にもねぇ事を……。



「み、みんなしてどうしたの……!? あ、暑さでおかしくなっちゃった……!?」



いつも椿月をよく思ってないだろう涼も顔を真っ赤にしていた。

玲音でさえ……口を開けていた。



「全然! つーちゃん可愛すぎ!」

「え? 憐夜くん、何言ってるの〜? 冗談はやめてよ〜」



……無自覚。

普通の俺なら“計算”と思うだろうが、昔から椿月は無自覚で鈍感だった。