俺は知ってる。あの長い前髪に隠された顔が。

この前下っ端共を手当てした時、まるで天女のようだった。

椿月は前髪で隠されてるだけで、とんでもなく美人だ。

それもそのはず、出て行ったという母親がとてつもなく美人だった。

その遺伝子を継いでる椿月が美人じゃないわけがない。



「あっ、来たんじゃない?」



憐夜がそう呟いた。

そこには、歩いてくる椿月が───っ、は?



「ごめんみんな! 誘ったの私なのに一番遅くなっちゃって。いろいろ時間かかっちゃって」



走ってくる椿月。



「え……。つーちゃん、だよね?」

「え? そうだけど……? あっ、メイクしたけどメイク詐欺とか言わないでね!? 結蘭ちゃんがしてくれたから!」



……玲音の従妹か。

正直、グッドだ。

白の生地に美しく咲く椿。

上に上げた髪は結っていて、綺麗な花が付いた飾りを付けている。

そして……上げた髪と一緒に上げられた前髪。

前髪が上げられて、顔が露わになった。