【side士綺】




クソ。なんでこんな格好しなきゃなんねぇんだ。

着てるのは浴衣。憐夜に着せられた。

椿月に祭りに誘われた時、咄嗟に断ったが、憐夜に『浴衣見れる』とか言われて乗ってしまった。



「ちょっと士綺クン。そんな浴衣やだ?」



もう祭りの会場に着き、憐夜と玲音、涼は集まった。

あとは椿月だけ。



「当たりめぇだろ。誰が好き好んでこんな格好するかよ」

「え〜。でもみんなで浴衣着るって約束しちゃったもんね? 士綺クン、愛しのお姫様のお願いは断れないもんね〜」

「黙れ」



でもちょっと楽しみにしてる自分もいる。

小さい頃、椿月と一緒に祭りに行った事がある。

その時は───可愛い、とか思ったが……。

って、何考えてんだ俺。



「正直、士綺さんはマジで浴衣着てくるとは思いませんでした」

「それは涼クンもだよ〜。玲音クンはどっちかな〜とは思ってた。つーちゃん、どんな浴衣だろ? 絶対可愛いよね〜」

「黙れ」

「わお。ナイト様のお怒りだ」