「士綺くん……」



小さな声が自分の体に響いた。

士綺くんが立っていた場所には、もう誰もいない。



「え、何〜? 会話に混ぜてもらえなかった〜」

「お前なんなの」



気づけば男の人たちに囲まれていた。

でも私は、士綺くんのことで頭がいっぱいだった。



「おーい。聞こえてる〜?」

「っ、きゃっ……!」



気づけば顔を覗き込まれていて、後ろに後ずさった。



「キミ名前は?」

「えっと……百瀬椿月、です」

「ももせつばきね〜! じゃあつーちゃん!」

「へ?」

「“あの”士綺クンとどーゆ関係!?」

「えっ、ちょっ……」



距離の詰め方……!

すごく目を見て話すのを意識してるっ……!



「あ、僕の名前は天王寺憐夜(てんのうじ れんや)! 憐夜でいいよ〜!」