ほ、惚れてるぅ……!?

いったい何を勘違いしたのかと思えば……。



「マジらしい! 一緒に夜歩いてんの見た奴がいるらしい」

「夜!? 夜はもうヤバいだろ……!」



同じような……いや、同じ以上のことを噂してる人がたくさんいる!

てか夜って何!? 送ってもらったこと!?



「でも姫美人じゃねぇぞ〜」

「な〜」



っ……!

そう言った人たち。

その人たちがいたところは、“あの人”がいたところだった。

そう確信した瞬間、手が震え出した。

怖くて。恐ろしくて。



「大丈夫か、椿月」



士綺くんに横から話しかけられ、やっと現実に戻った。



「士綺、くん。ごめん。大丈夫……」

「本当か? てか───」

「えっ? ちょっ……!」



士綺くんにも声が聞こえていたのか、その人たちの元にゆっくりと歩いて行った。

いったい……何をするつもり……?