傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

悲しかった。拒絶されたことが。

例え誰に嫌われていじめられようが、士綺くんにみたいに、信じてくれる人がいるから頑張れた。

それから、人と接するのが怖くなった。

また拒絶されたらどうしようって。



「それで挨拶の件。俺は出したいとか思ってねぇ。でも下っ端の奴らがうるせぇのも確かだ。だから、少し顔を出すだけでもいい」

「……」

「どうする?」



出かけた言葉。

『嫌だ』って。

でも……。

───また、同じじゃない?

ずっと逃げてきた。

人から、士綺くんから、何より自分から。

もう2年以上過ぎた。

そろそろ、前を向いた方がいいんじゃないか。



「行、く」

「……大丈夫か?」



するりと出た言葉に、士綺くんが眉間に皺を寄せる。