傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

ボロボロとみっともなく涙が溢れる。

士綺くんだって分かってるのに、どうしても重なってしまう。



「椿月落ち着け! ここにお前を傷つける奴はいない」

「……っ、は、ぁぁっ……っ」

「分かるか? しっかりしろ」



わ、たし……ま、た……っ。

気づけばベッドの上にいて、身体が異様に震えていた。



「士綺、くん……っ」



目の前にいる士綺くんを見て安心してしまったのか、涙が大量に溢れた。

そんな私を、士綺くんは優しく抱きしめてくれる。



「泣きたい時は泣け。俺も憐夜たちも、お前を傷つける気はない」

「分かってる……。でも、怖いの……っ。あの時の記憶が、離れなくて……! 私が、悪いの? いつまで経っても、忘れられない私が……っ」



分かってる。忘れなきゃいけないって。

でも、嫌と思うほど思い出してしまう。