「ねぇねぇつーちゃん、話があるんだけど」



倉庫に着いた途端、急に改まった憐夜くんに話しかけられた。

なんだろう?こんなに改まって……。



「……言いにくいんだけど、しっかりと挨拶しない……?」

「っ……!!」



“挨拶”。それが何を指してるのかすぐに分かった。

鮮やかに広がる記憶。

目の前に、いる人。



『気づいた? 百瀬』



い、や……っ。



『俺のこと覚えてる? 久瀬日向だよ』



やだ……こっちに、来ないで……っ!



『覚えてくれてた? 楽しそうにして。てっきりもう忘れちゃったかと思ってた』



「……めなさい」

「え? つーちゃん?」



現実に戻されても、何もかも思い出してしまう。



「ごめんなさい……ごめんなさい……っ。許してくださいなんでします……許してくださいお願いします……」



そう、念仏のように呟いた。