傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

微笑ましく見てたけど、憐夜くんが士綺くんの胸ぐらを掴んで、大事になってきてしまった。



「ちょっと、士綺くん! 憐夜くん!」

「な〜んてっ」

「……へ?」



急に士綺くんから離れて舌をチロっと出した憐夜くん。



「確かに怒ったけど〜。愛しのプリンセスの前では暴力できないよ〜」

「ぷ、プリンセス……?」



何を言ってるのか分からない……。



「それより、そろそろ帰る? 僕らちょっと寄るとこあるから、士綺クンとつーちゃん先帰って〜」



急にそう言った憐夜くんに首をかしげながらも頷く。



「? 分かった」

「……憐夜」

「なーに、士綺クン」



荷物を持って部屋から出ようとした時、士綺くんが憐夜くんを呼び止めた。

士綺くんは怖い顔をして、憐夜くんは何を言われるのか分かっているような顔で……。



「まさか野放しなんて考えてねぇだろうな」

「……野放し、ねぇ」