傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

士綺くんと、仲のいい家……。つまり、家柄のいいお家……?

それに、潰すって……。



「士綺は完璧だった、跡取りとして。だからこそ士綺を殺せば、獅子堂家は潰れると思ったんだろ」

「こ、殺すって……まさか……」



脳裏に嫌な予感が走った。



「“毒を飲ませろ”」

「っ……!」

「そう言われた。俺は士綺と仲良くなり、料理に毒を入れた」

「し、士綺くん、は……」



さっきまで一緒にいたのに、ゾクリとする。



「士綺はそんな簡単に騙される奴じゃねぇ。俺が何か怪しいのは薄々気づいてたんだ。だからその料理を食わず、俺の養子になった家、朱雀院(すざくいん)家を潰した」

「……え!?」



士綺くんが生きてるのは分かってた。だってさっきまで一緒にいたから。

でも、士綺くんが潰したって……。