——そのあとの記憶は、朧げだ。


頭が真っ白になったあと、どうにか足を動かした………ような気がする。


冷蔵庫に、買ってきた物を入れながら、呆然とした頭で考える。

私が幸人を見間違えるなんてことは、ありえない。浮気、よね……。


どうしよう………。
もしかして、この前謝ってくれたのって、「気まずいまま別れるのはな…。」っていう幸人の優しさ、だったのかしら……。


そうよね、幸人は本当にカッコいいし、優しいし、文武両道だもの。
私なんか、付き合えただけでも奇跡だったのよね………。

私は諦めない!とか、馬鹿みたい……。


でも、私は弱いから……。幸人に、別れを告げられるなんて、耐えられない。

私から、別れようって言うべき、よね。
幸人もその方が、余計な気を遣わなくて済むもの………。


そう考えて寝たこの日の夜は、人生で1番、虚しさや悲しさに溢れたものだった。