本郷先輩と鈴城さんが言っている公園なら、私もいつも通り過ぎてるから知っている。

鈴城さんが言った通り、芝生が綺麗で大きい公園だ。
晴れた日や春、過ごしやすい秋にはお弁当を食べたりバドミントンとかちょっとした運動をしているグループもいっぱい居た。

木陰にはベンチが複数あって、確かにそこで寛いでいる人も居る。
でもそんな中から依頼者を見つけることってできるかな。

黒髪の綺麗な女性は世の中に沢山存在しているし、そもそも依頼者自身の特徴が分からない。

「いつも夕方の五時頃に居ます、だってさ。もうすぐだな」

「これって外部からの依頼ですかね?」

「そうみたいね」

「思ってたんですけど外部の方はどうやって依頼をしてくるんですか?目安箱は職員室ですよね?」

「本当にたまーによ。校門のポストに入れる勇者が居るみたい」

「そうなんですね。とりあえず公園に行ってみますか?綺麗な黒髪の女性が一定の時間に沢山集まってるとも思えないし。時間が分かってるなら見つけやすいかも」

「それなんだけどさ、砂雪ちゃんとカナデ、二人で行ってきてくれない?」

「はい!?」

鈴城さんの言葉に反応した私とは正反対に、本郷先輩は何も気にしていなかった。

「なんでですか!?」

「ほら、中村ちゃんと戸田ちゃんは予算案まとめてくれてるし、私とハッセーも各委員会の報告書まとめなきゃなの」

「報告書?」

「新学期だから各委員長もメンバーも変わったわけじゃない?一年を通してのスケジュールとかそれにかかる予算、それが終わったら部活動の予算もまとめなきゃだし。それが無かったら二人の予算案も終わんないからさー」

「そうだったんですね…。私に手伝えることはありますか?」

「だ・か・ら、依頼に行ってきて欲しいの。お願い!」

「それでいいんですか?私、もっと手伝えますよ?」

「今週は砂雪ちゃんが依頼報告書もまとめてくれたら嬉しいな」

「もちろんです!」

「それじゃ、各自できることをがんばろー!」

正直、本郷先輩と二人で依頼に向かうのは不安しか無いけれど、これがみんなの為に私ができることなら精一杯がんばんなきゃ!
本郷先輩だってさすがに外で変なことはしてこないだろうし。