気まずそうに頭を掻いた悠太を見ていると、たぶん一人にしてあげたほうがいいんだろうなって思った。

私だって今は気まずいし…。
でもあのまま険悪なムードにならなくてよかった。

これって悠太との関係性もちょっとは前進したってことかな?

でも付き合うとかそういう話にはなっていない。
今はそんなこと聞けるはずもないし。

「えっと、私そろそろ帰るね」

「帰る?じゃあ送ってくよ」

「大丈夫だよ!」

「いや、送らせて。もう少し一緒に居たいし」

「…うん」

悠太が用意してくれた飲み物も飲まなかったし、勉強も教えていない。

でも中間試験まではもう少し時間がある。
二人で勉強を教えるチャンスがまた来るかもしれない。

それまでには私も本郷先輩の熱を忘れてしまいたい。

家の前まで送ってくれた悠太は「今日はちゃんと寝ろよ」って笑った。

この優しさも笑顔も大好き。
次こそはちゃんと聞こう。
私は悠太の恋人になれる?って。

そうなれたら最高に嬉しいってちゃんと言わなくちゃ。