カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜

「そうだ!カナデ様、これ見てください」

キラキラのヘアピンを何本も使って留めてある髪の毛から覗く耳たぶ。

小さくてキラッと光るピアスがついている。

「カナデ様とおそろいです!いっぱいリサーチしてやっと見つけたんですけど私にはちょっと高くて…バイト頑張っちゃいました」

嬉しそうに幸せそうに先輩に笑いかけて、得意げな表情でギャルさんは私を見た。

「へー、やっぱそれ高いんだ?」

鈴城さんが感心したように言った。

「そうなんですよ!さすがカナデ様って感じ!あ…ごめんなさい、勝手におそろいなんてキモいですか?」

「そんなことないけど…」

「ほんとですか!?よかったぁ…」

「でも、カナデさんと同じ物買うなんて相当時間かかったんじゃない?」

戸田さんが経理担当らしいことを言って、長谷川さんは「カナデさん、さすがの高級志向」なんて、どこに報告する為に必要なのか分からないメモを取った。

「まぁそこは要領良く!ですよ!」

「へぇ…」

鈴城さんが頷きながらギャルさんに近づいた。

本郷先輩は左耳にだけピアスをしている。
ギャルさんは右耳にだけしていた。
二人で一つ、とかそんな意味づけでもしてるのかな。

鈴城さんがギャルさんの耳たぶに指先で触れた。
ギャルさんは驚いて鈴城さんを見た。

「でもこんな物買えるなんて、時給いくら?なかなか無いでしょ、そんな高時給で中学生を雇ってくれるとこ」

「へ!?」

誰よりも私が一番に素っ頓狂な声を出してしまった。
慌てて先輩達を見たけれど、私以外の誰も驚いていない。

「は?中学生?えっ?」

生徒会室で先輩達はギャルさんのことを「三年は三年だけど」って言った。
中三ってこと?
年下なの!?

いやいや、問題はそこじゃなくて…!

「侵入してるってこと?」

私の言葉にギャルさんは固まった。

泣き出しそうな目で本郷先輩を見ている。