こうして私は念願の生徒会入りを果たしたわけだけど、本郷 カナデの第一印象は最悪だった。

容姿端麗で美しすぎることは認める。

ヘアスタイル、恐ろしく整った骨格に品のいい眉、吸い込まれそうな漆黒の瞳、スッとした鼻筋、薄くて口角が上がったくちびるがお行儀よく収まっている。

表情の一つ一つまでもが計算されているみたいに、私を見て歪ませた表情すらも完璧だった。

すごく頭がいいってこともきっと事実だし、身長もたぶん百八十センチはありそう。

もう、足がものすごく臭いとかじゃないと、同じ人間として割りに合わない気がする。

なのに、一人歩きしている本郷 カナデを総称する「人柄」はデタラメだ。

いや、違う。
きっと人前では噂通り分け隔てなく親切で聡明で、非の打ち所がない少年なのだろう。

あの姿は生徒会室だけで現れる本性なのかもしれない。

それでもおかしいと思う。

私に「黙れ、ブス」って言った本郷先輩は、同じ生徒会員の二年生の先輩達にはあんな態度は取っていなかった。

噂通り、ニコニコと穏やかで親切だった。

なんで私にだけ?
もしかして生徒会員としてやっていけるか、メンタルを試されてる?

どっちにしても最悪な印象は覆らない。

あんな男、私は絶対に好きになったりしない!

本郷 カナデのムカつく顔を思い出しては、悠太の顔を思い浮かべてイライラを帳消しした。