そんな会話をしながら、二人で交通量が少ない道を歩く。

 ちらっと匡君を盗み見るけど、これといって変わったところはない。

 ……匡君は、何で教えてくれなかったんだろう。

 正直のところ、ずっと考えていた。

 忘れていた……とは、流石に考えにくい。

 匡君は真面目だし、時間も守るほうだし、約束だって忘れた事はない。

 だったら、やっぱり意図的に言ってくれない……と考えるのが自然だ。

「ねぇ、匡君。」

「ん? どうしたの?」

「どうして、うちの学校に教育実習で来る……って、教えてくれなかったの?」

 ほんとに、率直な疑問。

 言いたくなかっただけなのか、言う必要がなかっただけなのか、理由は分からない。

 でもせめて……私には教えてくれたっていいじゃん、と思ってしまった。

 むーっと頬を膨らませて、匡君を見る。

 すると匡君はそんな私を見つめてから、クスッと微笑んだ。

「もしかして、俺が言わなかったから拗ねてるの?」

「……うん。」

「ふふっ、ほんと可愛いなぁゆまは。」