その声を聞きながら、私もお弁当の卵焼きをパクッと食べた。

 何にも教えてくれなかった匡君に、お仕置きしちゃお!

 ……そう企みながら。



 放課後、グラウンドからは運動部の掛け声が多く聞こえてくる。

 けれどもどの部にも入っていない私には関係なく、帰る準備をすると生徒玄関へと向かった。

 その途中、カメラを持ってゆるーく活動している初音ちゃんとバイバイを交わし。

 いくつかの資料を持った先生に会釈をしてから、水色に染まりかけの校門をくぐった。

「ゆま。」

「……あっ、匡君。」

「今日もお疲れ様。頑張ったね。」

 校門を過ぎて、ちょっとした時。

 おもむろに背後から、聞き慣れた声に名前を呼ばれ一瞬だけ驚いた。

 だけどこれはいつもの事で、匡君はこうして待っててくれる事が多い。

 そして慣れた手つきで私の手からするりとスクールバッグを取ると、ふっと苦笑いした。

「今日も重いね。また教材いっぱい詰めてきたの?」

「きょ、今日はそうでもないと思うけど……。」

「確かに、昨日よりはちょっとだけ軽いね。」