先生は俗に言う、イケオジ部類に入る……らしい。

 それ故か、泣きぼくろパワーなのか、女子生徒からはそこそこの人気がある。

 ……この学校自体、先生たちの顔面偏差値が高いから仕方ないのかもしれないけれど。

 なんて、絶対口にはできない事を思いながら、ぼんやりと毛先をいじる。

 そうしていると先生が言う事を思い出したのか、「あー……。」と小さく声を洩らした。

「来週の事だけど、これ大事な事だから言っとくわ。来週から2週間、隣のクラスに教育実習の大学生が来る事になった。ていってもその大学生の担当教科は国語だから、お前らも顔合わせくらいはするけどな。」

 その先生の言葉に、先ほど話していた女の子たちは歓喜の声を洩らした。

「ほらっ、やっぱほんとだったんだよ! 三輪ちゃんの情報間違ってなかった!」

「ねー、楽しみ~!」

 ……確かに、楽しみではある。

 どんな人なんだろう? 優しい人だったらいいなぁ……。

 ぽわぽわと、まだ会った事もない教育実習の大学生さんを思い浮かべる。

 でも、私が妄想に浸れたのはこの瞬間だけで。