「お疲れ様でした!」

試写会の後、別室で次々と雑誌やテレビの取材を受け、ようやく全てのスケジュールを終える頃には20時を回っていた。

控え室で着替えた瞬は、明日香に衣装を渡してソファに座る。

「お疲れ、明日香。この後はもう上がり?」
「うん、そう。あ、沙奈さんの衣装を受け取ってくるので、先に上がっててください。お疲れ様でした」

瞬とマネージャーの村上に挨拶してから、明日香は部屋を出ていった。

「瞬さん、ご自宅までお送りします」

2年前にマネージャーになった年下の村上は、サザンクロスのメンバーに敬語を使う。

いつの間にか自分も歳を取ったなと、瞬は妙なところで実感していた。

「んー、もう少し待ってもらってもいい?」
「はい、分かりました」

明日香がオフィスに戻るなら、一緒に乗せて送って行こうと思っていた。

するとノックの音がして、監督が顔を覗かせる。

「よっ!瞬。お疲れ様。あのさ、またあの店にメシ食いに行かないか?」
「お疲れ様です。はい、ぜひ」
「そう?良かった。そしたらさ、先に行っててくれるか?明日香ちゃんにも今聞いてみたら、大丈夫って言うから、二人で向かっててくれ。俺もすぐに追いかけるから」
「分かりました」

瞬は明日香と一緒に、村上の運転する車でまたあの料亭に向かった。