「チェックOK!以上で『真実の光』オールアップです!」

助監督の声に、一斉に大きな拍手が起こる。

笑顔と涙、安堵と開放感。
皆は感慨深く互いを労い合う。

大きな花束が出演者に贈られ、藤堂監督がおもむろに口を開いた。

「えー、みんな。とにかくお疲れ様!本当によくやってくれた!」

その言葉に、また拍手が起きる。

「ここにいる皆が一丸となって頑張ってくれた。素晴らしいチームワークだった。誰一人欠けてもこの映画は完成しない。本当にありがとう!」

一人一人に語りかけるように、監督が皆を見渡した。

「須賀。舞台の世界から彗星のごとく映画界に現れたな。また来いよ」
「はい!いつでも参上致します!」
「そして、健悟!お前は立派な俳優だ。難しい役をよくやり切ってくれた。母ちゃんにお小遣い渡しておくから、いっぱいお菓子買ってもらえよ!」
「うん!」

目を輝かせる健悟に、皆も笑顔になる。

「それから沙奈!よくやったな。もう誰もお前のことを、無名の新人だなんて言わなくなる。胸を張って、これからも頑張っていけ」
「ありがとうございます。全て監督のおかげです。私のような未熟者をこの作品に関わらせて頂いて、本当に感謝しています。皆さんも、温かく支えてくださってありがとうございました」

涙ながらに頭を下げる沙奈に、皆は労いの拍手を送る。

「最後に…瞬」

監督がしみじみと瞬の名を呼んだ。
再び口を開こうとして、言葉に詰まる。

「…すまん。俺としたことが」

目頭を押さえる監督に、皆も思わずもらい泣きする。

「瞬…、ありがとう。監督なんて非力なもんだな。この作品はお前が作り上げたんだ。お前の存在感、演技力、全てに圧倒されたよ。俺はただそばで見届けただけだ」

瞬は首を振って頭を下げた。

「いえ、全て監督のおかげです。今回だけではなく、10年前から。今の自分があるのは藤堂監督と皆さんのおかげです。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました」
「瞬、お前ってやつは…。惚れるだろ!」

ガバッと瞬に抱きつく監督に、皆は笑い出す。

「また一緒にでっかい仕事しようぜ!」
「はい、ぜひ!」

熱い抱擁を交わす二人に、明日香も惜しみない拍手を送った。

「じゃあみんな、これにて解散!打ち上げは2週間後だ。全員来いよ!監督命令だ!」
「はい!」

皆は声を揃えて笑顔で頷き合った。