トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜【書籍化】

アルバムに挟んであった手紙には、警視総監の娘として懸念していたことが書かれていた。

結婚して実家を出た後、たまたま用事で帰った時にポストを覗いて、脅迫状を見つけたこと。
家政婦を問い詰めると、脅迫状は父親が警視総監になった3年前から続いているとのこと。
内容は決まって、過去の罪を白状せよ、という文字だけらしかった。
父親に渡して事情を聞いてみたが、くだらない、と中も見ずに握りつぶして捨てた。
家政婦には、「見つけたら即座に捨てていい。いちいち報告するな」と以前から伝えていたらしい。
もやもやした気持ちで日々を過ごしていると、ある日家政婦から電話があった。
また脅迫状が届いたが、いつもと文面が違うとのこと。
「お嬢様、くれぐれもお気をつけくださいませ」とだけ言って電話は切れた。
もしかして、自分の身に何かが起こるのかもしれない。
そう思い、父の経歴を調べてみた。

そして一つの事件が浮かび上がる。
30年前、自分が生まれた年に当時父が警部として担当した事件。
町の小さなねじ工場の社長を窃盗と殺人の容疑で調べていたが、逮捕寸前までいって誤認だと判明した。
だが、一度世間から冷たい視線を向けられた町工場の社長は、仕事の取引先を一気に失い倒産する。
巨額の負債を抱え、思い詰めた社長は己の命と引き換えに保険金でまかなうことを決めたのだった。
残された妻は憔悴し、まだ幼かった息子はそんな母親を見て、いつか必ず警察官になって、両親を追い詰めた男の罪を暴いて復讐してやると周囲に漏らしていたらしい。

手紙に書かれていた内容はそこまでだった。