助監督の進行で、次々とスタッフが紹介されていく。

脚本家、プロデューサー、カメラマン、音響、照明、ヘアメイク、美術、小道具、編集など、大勢の人が紹介され、とても一度では覚え切れない。

「衣装担当、オフィス クリスタル」

順番が来て、陽子と明日香は立ち上がりお辞儀をした。

ようやくひと通りの紹介が終わると、藤堂監督が台本を手に説明を始める。

明日香も手元に配られた台本を開いてみた。

映画『真実の光』

主演 柏木 瞬

その文字を目にした途端、明日香は何とも言えない感情が込み上げてきた。

ひたむきに努力し続けて、ようやくここまで登り詰めた瞬。

アイドルに何が出来る?と見下される演技の世界で、映画の主演の座を掴み獲った瞬。

しかも監督は、役者なら一度は指名されたいと誰もが思う有名な藤堂監督。

これまでの瞬の努力が、この台本の1ページに集約されているような気がして、明日香は感慨深くなる。

(瞬くん、改めておめでとう!頑張ってね。私も精一杯支えるから)

明日香は決意を込めて、心の中で瞬に語りかけた。