「じゃあ明日香のお悩みもスッキリ解決したところで、お次は…恋バナ?」

アルコールで頬をほんのり赤らめたあみが、皆を見渡して言う。

「えー?恋愛の話?」
「リアルでってこと?」

りなとふうかの言葉に、あみは、もちろん!と真顔で答える。

「私達、もう26だよ。そういう話しても不思議じゃないでしょ?」
「でも私達、自由に恋愛出来ないもん。そういう話題は避けてきたし」
「だからだよ。いい機会だから、話してみない?私達だって、いつかは恋愛しても許されるんじゃないかな?」

あみの言葉に、うーん…とりなが腕を組む。

「そりゃ、私も仕事で一緒になる人とか、いいなーって思うことはあるよ。話してみて、楽しいな、とか。でもそこから先は現実的には考えられない」
「私もりなと同じ。気になる人とは、たまに現場で会えたら嬉しくなるって程度かな」

そうなんだ…と呟くあみに、明日香が尋ねる。

「あみちゃんは?誰か好きな人がいるの?」
「うん、実はそうなの」

すると、ええー?!と、りなとふうかが仰け反って驚く。

「そ、そ、そうなの?!」
「知らなかった。まさか、あみが…」

そう言った切り、思考回路が止まったように固まっている。

「あみちゃんは、その人とつき合いたいと思うの?」

明日香の問いに、あみは少し考えてから首を振る。

「今はまだ考えられない。仕事が何よりも大事だから。でも、将来のことをふと考えちゃうの。私もいつか結婚して、大好きな人と一緒に暮らしたいなって」

恥ずかしそうに小声で話すあみは、初恋をした高校生のように初々しい。

「ねえ、明日香はどう思う?いつか私が結婚したら、ファンの人は許せないって思うかな?」
「んー、私はそうは思わないな。本当にあみちゃんのことを大事に思ってるファンの人なら、きっとあみちゃんの幸せを願ってくれると思う。ただ、そういう報告は、きちんとあみちゃんの言葉で聞きたいかも。週刊誌とかに書かれたりする前に」

うんうん、とあみは頷く。

「誠心誠意、自分の決めた人生を歩いて行きたいって正直に伝えたら、許されるかな?」
「うん。私はそう思う」

明日香がきっぱり断言すると、あみは嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう!明日香。私、その日を夢見て一生懸命頑張る!」
「ふふ、可愛い!あみちゃん。恋の力でキラキラしてるね。ファンの人もきっと応援してくれるよ」
「うん!」

二人で微笑み合っていると、ようやくりなとふうかが口を開いた。

「あの、あみ?聞いてもいい?あみの好きな人って誰なの?」
「私達も知ってる人?」

あみは、えへへーと思わせぶりな笑顔でかわす。

「まだ内緒!」
「えー?教えてよー」
「ダーメ!二人とも、ニヤニヤ顔に出ちゃいそうだもん」
「ってことは、私達も知ってる人ってこと?」
「だから、内緒!」

そんなこと言わずにー、あみ様ー、と、二人はあみに抱きつく。

「やだ!もう、くすぐったいってば!」

じゃれ合って笑い転げる3人を、明日香は目を細めて見守っていた。