「あー、ゴホン!みんな、心の準備はいいか?」
「こわっ!なんですか?その、今から爆弾発言します、みたいな雰囲気は」

直哉が思わず大きな声を出すと、富田は、あはは!と笑い飛ばした。

「まあ、そんなに怯えないでくれ。確かにあまりいい話ではないが、何も心配しなくていい」

落ち着いた富田の様子に、皆も安心して肩の力を抜く。

「生放送の本番前に悪いね。まずは、これを見てくれるか?」

そう言って富田は、タブレットを操作して動画を再生した。
聞き覚えのあるクリスマスソングが流れ始める。

「これって、先月のクリスマス特番の時の?」

りなの言葉に皆も思い出して頷く。

「本当だ。私服で踊ってるってことは、当日のゲネプロかな?」

明日香もそっと動画を覗き見る。
本番のセットで、7人が男女のペアを組みながら踊っているその動画は、確かにあの日の通しリハーサルのものだった。

「これがどうかしたんですか?」

直哉が富田に尋ねると、富田はしばらく動画を早送りしてから一時停止させた。

「この場面なんだけど、よく見て覚えてて」
「は?はあ…」

皆は気の抜けた返事で頷く。
ちょうどそれぞれのペアが手を取り、向かい合っているシーンだった。
真ん中の優斗とあみが、笑顔で微笑み合っているのがなんとも絵になっている。

「で、明日この記事が週刊誌に掲載される」

ふいにタブレットの横に一枚の紙が置かれて、皆は一斉に目をやった。
次の瞬間…。

「ええー?!なんですか、これ」
「熱愛発覚?!誰のことですか?」
「週刊誌にこれが?一体どうして」

一気にまくし立てる皆を、富田は両手で制する。