明日香がデザインした真っ白な衣装を着て、コットンキャンディの3人がしっとりと歌い上げる。

ステンドグラスが美しいチャペルで、新曲のミュージックビデオが撮影されていた。

色んな角度から何カットも撮影し、そのたびに明日香は3人の衣装を整える。

(かっわいいー!あみちゃん。夢見る少女って感じ。りなちゃんとふうかちゃんも、大人っぽくてステキ)

パフスリーブのあみ、ホルターネックのりな、そしてオフショルダーのふうか。

3人とも、いつか来る結婚式を意識したような、優しく美しい横顔。

明日香はうっとりと撮影に見とれていた。

「はい、チェックOKです。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした!」

無事に撮影が終了し、明日香は3人の着替えを手伝いに控え室に行く。

着替えを終えた3人から衣装を受け取っていると、ふと、壁に綺麗なドレスが掛けられたままなのに気づいた。

「あれ?このドレス、どうしたの?」

すると3人は、あー、それね、と声を揃えた。

「そのドレス、明日香に着て欲しいの」
「…は?どうして私が?」
「ふふふ、もうすぐ王子様が迎えに来るからよ」

あみの言葉に、明日香は、はい?と眉根を寄せる。

「その前に、ヘアメイクしまーす!」

聞き覚えのある声がして振り向くと、明菜がにこやかに近づいてきた。

「明菜ちゃん?!どうしてここに…」
「私だけじゃないわよ。ほら!」

視線の先を追うと、沙奈が美しいブーケを手に部屋に入って来た。

「明日香ちゃん!これは私からのプレゼント」

そう言って、沙奈は明日香にブーケを差し出す。

「あ、ありがとう、ございます。え、でもどうして?」

まだ事情が飲み込めない明日香を皆が促し、ドレッサーの前で明菜がメイクを始めた。

「あのね、明日香。今日は私達からのお祝いなの」

鏡の中の明日香に、りなが話しかける。

「お祝いって?」
「もちろん、結婚のお祝いよ」

ふうかも明日香に笑いかけた。

はあ…と気の抜けた返事をする明日香に、明菜は慣れた手つきでメイクしていく。

やがてメイクが整うと、髪もアップでまとめて煌めくティアラを載せた。

「ひゃー!なにこれ?ホントに私?」

鏡の中の自分に驚く明日香を、皆は早く!と急かして着替えさせる。

「嘘でしょう?!本当にこれを着るの?」
「そう、着るの!ほら、王子様がお待ちかねよ」

着せ替え人形のように、明日香は色々な人に飾りやアクセサリーを着けられる。

最後に明菜が明日香の髪にベールを着けた。

「うん!綺麗な花嫁の完成!」
「ホントだ。可愛い!明日香」

ウエストからふわっと広がるドレスは、胸元のラインも綺麗で、肩のパフスリーブも軽い素材で凝ったデザインだった。

あ、あの、一体?と戸惑う明日香を、あみ達は先程まで撮影していたチャペルに連れて来た。