「んー、うまい!どれもこれも美味しいよ。な?瞬」
「はい。紗季さんの手料理、本当に美味しいです」

すると明日香が、しきりに自分を指差してアピールする。

「何やってるの?明日香」

瞬がしれっと明日香に聞いた。

「だから!私は?私も作ったんだけど」
「あー、このレタスちぎったの、明日香?」
「うん、そうだけど」
「上手にちぎったねー。手でパリッとするだけだもんねー」
「もう、瞬くん!他にもやったもん!」
「あ、米を研いだとか?上手だねー」

むーっ!と明日香がむくれると、富田がヤレヤレと肩をすくめた。

「お二人さん。イチャイチャは家でやってくれ」
「ホントよ。でもまだまだお子ちゃまの域って感じだけど」

苦笑いして紗季も続ける。

別にイチャイチャなんて…と明日香が不服そうにしていると、紗季が思い出したように口を開いた。

「明日香。コットンキャンディの新曲のミュージックビデオ撮る日、スケジュール空けておいてね」
「え?はい。もちろん撮影には立ち会うつもりで、スケジュール空けてあります」
「そう。なら良かった」

そう言ってまた箸を進める紗季に、ん?と明日香は首をひねっていた。