家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

やがて馬車が走り去っていく音。
家の中にはソフィアとマルク、それにエミリーの3人だけになった。

ソフィアはゴクリとツバを飲み込んでマルクの腰へ視線を向けた。
小部屋の鍵はいつものようにマルクの腰にぶら下がっている。

パーティのときと同じようにマルクを眠らせて、鍵を使って外に出ることはできるだろう。
だけど問題はエミリーだった。

エミリーは家中の掃除をしているから、今どこを掃除しているのかわからない。
もし小部屋の近くを掃除していれば、ソフィアが脱出したことにすぐに気が付かれてしまうだろう。

考えを巡らせている間に外からパンパンと布団を叩く音が聞こえてきた。
エミリーだ!

とっさに小窓に走って外を確認するけれど、ここからでは庭先は見えない。
だけどこの音の近さだ。

エミリーが庭に布団を干しに出たことは間違いないはずだ。
家の中にいるのはソフィアとマルクのふたりだけ。