家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

そう思うと途端に焦りに似た感情が湧き上がってきた。
あんなこじきほっておけばいいのに、そうできないなにかがソフィアの胸の中にうずまき始める。

助けに行かないと本当に殺されてしまうかもしれない。
それは相手を見殺しにするのと同じ意味を持っている。

ソフィアは自分の両手を見つめた。
青年に握りしめられた手。

暖かくて柔らかくて、少なくてもあの時は自分に対してとても優しくしてくれた人。
相手の正体がどうであれ、このままじゃダメだ。

「マルク。ちょっと買い物に行ってくるわね」
「わかりました。おまかせください」

家の奥から聞こえてきたママの声に即座に反応するマルク。
耳をすませて聞いていれば3人分の足音が家から外へと出ていくのがわかった。

ママだけじゃなく、パパもイザベラも一緒にでかけたみたいだ。