家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

その洗礼された街中に小汚い恰好をしたこじきが1人いたら、王様は激高することだろう。
「それでさ、今回のこじきは見せしめにするらしいって噂だよ」

「見せしめ？」
「そうだよ。そこの広場で公開処刑だって聞いたよ」

これにはマルクも目を見開いて絶句した。
今まで公開処刑など行われたことはなかったからだ。

みんなの集う広場でそんなことをするなんて、考えられないことだった。
「それは本当の噂か？　景観を大切にしているのに、広場で公開処刑なんて、信じられないな」

「私だってびっくりしたよ。だけど噂はきっと本当だよ。こじきを捕まえたヤツには賞金まで出るらしいからね」

エミリーが舌なめずりをして答える。
賞金という単語にマルクも心が動いた。

こうしてここに座っているだけで賃金が発生しているものの、正直飽きてきたところだった。