家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

小部屋へ入れられてすぐに力を使い、脱出して助けを呼ぶ。
それは誰もが考えることだろう。

ソフィアもここへ入れられてすぐの頃には何度がそれを試してみた。
だけど幼い頃のソフィアは何度でも失敗し、結局ここへ戻ってくることになったのだ。

やがて、力を使うことを諦めた。
この部屋から出ることを諦めた。

それでいい。
それが家族にとっても一番いいことなのだと思っていた。

「だけど、もう1度外へ出たくなったかもしれない」
小窓の鉄格子を両手で握りしめてつぶやく。

1度外に出て自由を知ったソフィアの心は高揚が止まらない。
外へ出ることへの憧れは、日に日にましていく一方だった。