家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

☆☆☆

盛大なパーティが終われば街は普段どおりの姿に戻る。

パーティが終わって2、3日間は浮足立った雰囲気が残っていた広場も、一週間が経過した今ではもうすでにその賑わいは消えていた。

「あっという間に終わっちゃうのね……」
小窓から広場を見ていたソフィアは物悲しそうにつぶやく。

あれほど楽しい夜は今まで経験したことがない。
小部屋からこっそり抜け出したときのスリル。

見知らぬ青年とダンスしたときのときめき。
そして誰にも見つからずに部屋に戻ってきたときの安堵感。

それらを思い出すとソフィアの胸は熱くなる。
どうせならあのまま逃げだしてしまってもよかったかもしれない。

ううん、普通ならきっとそうするだろう。
いくら力を禁止されていたって、使うのは自分自身だ。