家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

気がつけばソフィアは青年から言われるがままにダンスをしていた。
生まれて初めてのダンス。

幼い頃にしていたのとは違う、大人のダンス。
ソフィアの心臓はどんどん高鳴り、顔は真っ赤に染まっていた。

「上手じゃないか。ひと目見た時から君はダンスが上手だと思ってたんだ」
「なに調子のいいこと言ってるの」

青年の言葉に笑いながら音楽に合わせて体を揺らす。
こんな時間が永遠に続けばいいのにとうっとりしてきたときだった。

突然音楽の雰囲気がガラリと変わってアップテンポなものになった。
それによって現実へと引き戻されたソフィアは青年から離れて影から広場を確認した。

「隣国の王子様が到着したのよ!」
豪華な馬車が広場の中にどんどん入ってくる。